Rig コマ撮り特機

rig はパペットを支えたり空中に浮かせるときに使う支持具です。
アクション映画等で役者を吊る rig や CG界隈の rig と区別して、
コマ撮り特機と呼びます。

rig を jig(冶具)と混同してる方がいらっしゃいます。冶具とは工作をするさい、材料を動かないように押さえておくシカケのことです。rig とは似て非なるものです。


SS-001


戦車1号。戦車(タンク)とは国内特有の呼び方で、突き出し(ロッド)と、それを支える錘本体の外観が、そこはかとなく戦車に似ているところからきています。

ギヤモジュールは、コンパクトな一体型。ピニオンギヤを2個使用してギヤの動きを安定化しました。ラックギヤストッパーは間接押しで、ラックギヤに傷をつけません。突き出しは片側出し。錘の鉛インゴットが下への動きを阻害しないため、上下方向の可動範囲は最大18センチあります。主要部分以外は低くして、影の写りこみを抑えました。インゴット部分の高さは6センチ高です。低位置には斜めにグリップをつけ、ステージ上の取り回しを良くしました。

もともと自分用に試作したものですが、のちに某TV作品でデビューを果たしました。


SS-002


ギヤモジュールとラックギヤの組み方を90度かえました。突き出し棒はギヤモジュール筺体を貫通し横方向にスライドするので、戦車〜パペット間の距離が調整しやすくなりました。
錘は突き出し棒の上下動を妨害しないよう配置されています。ギヤモジュールはラックギヤの最下部まで下げられます。
取り付け可能突き出し棒は、3ミリ・5ミリ・6ミリ・8ミリ径の4種類。グリップは吊り下げ型です。



Rig 2011-2015

Rig の過去5年間を振り返ります。便宜上(1)〜(5)の5期に分けます。

(1)一体型フレーム・大型戦車

ラック&ピニオン型ギヤ使用。
ギヤモジュールのフレームはフライス盤で削り出し、価格もプロ向けです。既出の SS-001、SS-002 などがこれにあたります。

(2)小型リグ

ギヤモジュールを使わない省スペース型です。ボール&ソケット関節のみで構成。

(3)部品構成型フレーム・小型戦車

ラック&ピニオン型ギヤ使用。ラックギヤは薄板です。
フレームは複数部品で構成。そのため改善や修理が容易。
(2)といっしょにして広義の「小型リグ」と呼ぶこともあります。

(4)試行錯誤期(Tetsu's rig system)

(1)〜(3)をもとにシステム化(互換性の確保)を試みました。
ラック&ピニオン以外の微動も試しています。一種の実験場です。

(5)システム型(Tetsu's super rig system)

システム化の完成型です。
小型戦車・大型戦車ともにラック&ピニオン型ギヤ使用。フレームは複数部品で構成。
多くの部品がモジュール化されているため、異なる撮影状況への対応が容易です。
目安棒や吊り装置などの周辺機材も取り込み進化中です。


Rig 2016

教材用簡易リグからスタートして、ネオジムを使用した磁石リグへ。
小型化のため、以前検討したスクリュー版を再導入。ついでに磁石リグも小型化。
小型スクリューでスクリューのノウハウができたので、それを応用し再び大型のスクリュー版も制作。

結果的に非・ラック&ピニオン型の年になりました。